今季のJリーグは例年になく華やかな印象だ。それもそのはず、世界一の経験がある正真正銘のスーパースターが2人も参戦したのだから。
クラブではチャンピオンズリーグをはじめ数多くのタイトルを獲得。さらに、スペイン代表としてユーロ2008、2010年南アフリカW杯、ユーロ2012を制した。そんな華々しすぎる実績を引っ提げ、フェルナンド・トーレスはサガン鳥栖に入団した。もちろん、トーレスとともにスペイン代表の主軸を担い、バルセロナで32個のタイトルを獲得し、ヴィッセル神戸に入団したアンドレス・イニエスタの存在も忘れてはならない。しかし、今回はトーレスの方に注目してほしい。 その理由は彼が着用しているスパイクにある。
9月21日、あるニュースが発表された。「フェルナンド・トーレスがミズノとブランドアンバサダー契約を締結した」と。さらに、「トーレスはミズノのサッカースパイク『MORELIA NEO Ⅱ(モレリアネオツー)』を着用する」と。知っての通りミズノは日本で創業し、長年に渡り日本スポーツの発展を支えてきた国産企業だ。契約を結ぶブランドアンバサダーには本田圭佑、吉田麻也、岡崎慎司、中村憲剛、大島僚太、青山敏弘など、日本を代表する選手たちが名を連ねる。その面々に新たに“フェルナンド・トーレス”の名が加わったのだ。
契約発表の翌日、トーレスは早速モレリアネオツーを着用しリーグ戦のピッチに立った。
◆王国にルーツを持つ不朽の名作シリーズ誕生から33年、今や業界内では「モレリアはサッカーが上手い人が履くスパイク」として確立されている。それほどの評判を得るに至った理由は何か? そのルーツはブラジルにある。
開発がスタートしたのは1983年、「3年後のメキシコW杯で自社のスパイクを履いた選手が活躍する」ことがミズノの目標だった。そこで、トッププレイヤーたちがスパイクに求めるものを知るべく、開発担当者をブラジルに送った。多くのブラジル人選手に意見を仰ぎ、返ってきたリクエストは「折りたたんでスーツのポケットにしまえるくらい柔らかいスパイク」だった。ジョークのように聞こえるが、テクニックを重んじるブラジル人にとっては、“軽さ”と“柔軟性”は何よりもスパイクに求めるものだった。これに応えるべく、ミズノは試作品の制作と実験テストを繰り返し、1985年に初代モレリアが誕生した。
さらに、ミズノと契約を結び、サンパウロに所属していた水島武蔵氏の紹介で、ブラジル代表のカレカにモレリアを履いてもらう機会を得た。すると、テストマッチでいきなり2ゴールを記録。好感触を覚えたカレカは、モレリアを着用しメキシコW杯に出場し、5ゴールを挙げる大活躍を見せた。これをきっかけに「モレリア」の名はブラジル全土に広まった。1990年イタリアW杯では、ブラジル代表の大半の選手がモレリアを着用した。1999年には、リバウドがモレリアを着用してバロンドールを受賞した。こうしてサッカー王国からモレリアの知名度は世界中に広がり、日本国内でも根強い人気を博した。
◆ミズノの技術力が凝縮された一足をJリーガーも長年愛用徹底的に追及された軽さ・柔らかさ・履きやすさは、手に取った瞬間に実感できる。上質なカンガルーレザーはとにかく柔らかく、優れたしなやかさも備えている。履いてみると嫌な締めつけや突っかかるような感触もなく、抜群のフィット感を生み出す。
足馴染みも抜群だ。某大学のサッカー部員に話を聞いた際、「モレリアを履くようになってからケガが減りました」と話してくれたことがある。彼は長年ケガに悩まされてきたが、知人の勧めでモレリアを履いた。すると、スパイクに対する嫌な感触を全て忘れるほど足に馴染んでくれたという。現在では日本人選手も外資メーカーのスパイクを履く選手が大半を占めている。それでも、中村憲剛や青山敏弘といった日本屈指のゲームメーカーが長年に渡りモレリアを愛用していることも、ミズノの技術力の高さを証明していると言えるだろう。
トーレスが契約したことで再び脚光を浴びている。その宣伝効果は言わずもがなだが、トーレスにとってもメリットは多い。外資メーカーと違いミズノは本社と工場を日本に構え、シューフィッターをはじめとするスタッフたちと密にディスカッションできることも心強い限りだろう。日本最高の技術が凝縮された一足を履いたトーレスが、日本のピッチでどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。
(出典 news.nicovideo.jp)
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