ホーム開幕戦となった明治安田生命J1リーグ第2節のサガン鳥栖戦を1-0で勝利し、今シーズン初白星を手にしたヴィッセル神戸。ノエビアスタジアムに歓喜をもたらしたのは、来日初ゴールを決めた元スペイン代表FWダビド・ビジャだったが、それに引けを取らないほどのインパクトを残した新助っ人がもう1人いる。ブラジル人DFダンクレー。神戸が獲得を熱望した選手だ。
バルサ化を宣言した神戸は今オフも大型補強を敢行。ダビド・ビジャや日本代表MF山口蛍を加えた他、守備陣ではDF西大伍やDF初瀬亮といったサイドで起点となれる選手を獲得した。しかし、中央でファン・マヌエル・リージョ監督のパスサッカーを体現できる選手は開幕まで確保することができなかった。
迎えた開幕戦のセレッソ大阪戦では0-1で敗れ、黒星スタート。それから2日経った2月25日、ポルトガル1部のヴィトーリア・セトゥバウからダンクレー加入の報が。高い身体能力を持ち、足元の技術も兼ね備える長身CBの獲得は2度のオファーで実現。それだけ神戸が欲していた人材だった。
◆加入即先発で完璧なJデビュー
ダンクレーはすぐさま期待に応えた。合流からわずか4日後、鳥栖戦でDF大﨑玲央とコンビを組み、4バックの右CBで移籍後初出場すると、高いビルドアップ能力を見せると共に、縦パスを連発。そして何より目についたのは、パスを受けた時、一番に最前線を見る姿勢と余裕だ。ボールを扱う能力に長けており、多少寄せられても動じない。この日、ダンクレーはダビド・ビジャの巧みな動き出しを見逃さず、攻撃のスイッチを幾度となく入れた。
その象徴的なシーンが34分の場面。後方でボールを受け、目の前にスペースがあるとみれば持ち上がり、最終ラインで駆け引きをしたダビド・ビジャに上質なパスを供給。惜しくもシュートはクロスバーに嫌われたが、1本のパスで決定機を創出した。
一方で、守備面での特徴も光った。前半のうちにイエローカードを貰ってしまったが、冷静さを保ち、空中戦や一対一での強さを見せつけ、元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスや元日本代表FW金崎夢生の突破を一切許さず。また、フィジカルを生かしたプレーだけでなく、コンビを組んだ大﨑、アンカーの山口、右サイドバックの西のカバーリングも素早い出足でしっかりとこなし、組織的な守備ができることも披露。好守において完璧とも言えるJリーグデビューだった。
◆バルサ化へのキーマンに
攻撃の起点となれるCBを探し続けてきた神戸が、ついに適任者を手にした。たった1試合だが、そう思わせるパフォーマンスだった。開幕節で左ウイングを務めたダビド・ビジャを中央に配置したことも要因の一つだが、最前線の動きを捉えながら長短のパスを繰り出せるダンクレーが加入したことで、ビルドアップは安定し、攻撃やパスワークのバリエーションは増加した。
また、対人守備や背後に出された際に対応できるだけの身体能力を兼ね備えていることも、攻撃面において大きな安心感を与える。鳥栖戦では両サイドバックの後方からの思い切りの良いオーバーラップが見られたが、それはダンクレーの存在があるからこそ。今後、より頻度や精度を増すことができれば、攻撃の厚みは更に増加するだろう。
攻守において神戸に多くのものをもたらす可能性を見せたダンクレーだが、合流してまだ日は浅い。時間と共にコンディションが向上し、連携や戦術理解度が深まることを考えると、期待は高まるばかりである。バルサ化へのキーマン。それは、アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャ、ルーカス・ポドルスキでもなく、このブラジル人CBかもしれない。
《超ワールドサッカー編集部・長尾優輝》
(出典 news.nicovideo.jp)
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