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 リヴァプールは、28日に行われるチャンピオンズリーグ(CL)決勝のレアル・マドリード戦で2021-22シーズンを締めくくる。プレミアリーグではマンチェスター・Cと勝ち点「1」差で惜しくも優勝を逃したものの、仮にCLを制することになればカラバオ・カップ、FAカップと併せて三冠を達成することになる。

 CL決勝進出は、過去5シーズンで3度目。その間、チームの強化に大きく貢献したマイケル・エドワーズスポーツディレクター(SD)は、2021年11月に今シーズン限りでチームを離れることを発表した。後任にはエドワーズSDのアシスタントを務めてきたジュリアン・ウォード氏が昇格する。

 2011年にアナリティクス部門の責任者としてリヴァプールに加わって以降、クラブに尽力してきたエドワーズSD。2016年11月に現職に就いて以降、現在は主力としてチームを支える選手たちの獲得を主導してきた。今シーズンリーグ・アンを5位で終えたニースがエドワーズSDの招聘を検討中との報道も出ているが、果たして次の挑戦の場所はどこになるのだろうか。

 イギリスメディアミラー』は20日、リヴァプールでエドワーズSDが手掛けた最初の補強選手10人を紹介している。

[写真]=Getty Images
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◆■2017年6月:モハメド・サラー

前所属:ローマ
移籍金:4,300万ポンド(約68億円

 エドワーズSDが契約した記念すべき第1号は、エジプト代表FWモハメド・サラーだった。ローマでは2シーズンセリエA65試合に出場して29ゴールを決めたサラー。ただ、ローマの前に所属していたチェルシーでは、プレミアリーグで13試合で2ゴールと結果を残せなかった。そんなサラーに対して、当時クラブ史上最高額となる総額4,300万ポンド(約68億円)の移籍金を投じたことを不安視する声も少なくなかった。しかし世間の懐疑的な目が、リヴァプールの支払った高額な移籍金から、同選手を手放したチェルシーに移るのに時間は要さなかった。サラーは加入初年度から公式戦で44ゴールと大爆発。初めての補強でリスクを冒して大成功を収めたエドワーズSDは、揺るぎない信頼を得た。サラーは2年目以降もコンスタントゴールを重ね、加入してから5シーズンで3度もプレミアリーグの得点王に輝いた。今シーズンアシストランキングでも1位に輝いている。

◆■2017年7月:ドミニク・ソランケ

前所属:チェルシー
移籍金:400万ポンド(約6億円)

 2017年夏のU-20ワールドカップではU-20イングランド代表の優勝に貢献し、大会MVPにも選ばれたFWドミニク・ソランケ。チェルシーからリヴァプールへの完全移籍が決まったのは、大会期間中のことだった。チェルシーとの契約が満了を迎え、フリートランスファーでリヴァプールに加わったソランケは、『アンフィールド』で過ごした18カ月で27試合に出場してわずか1ゴール、先発出場は6試合だけに終わった。それでも400万ポンド(約6億円)の補償金のみで獲得したソランケを、エドワーズSDは1,900万ポンド(約30億円)でボーンマスに移籍させることに成功。トップチームレギュラーになれなかった選手の放出で、1,500万ポンド(約24億円)もの利益を生み出した営業力は高い評価を集めた。

◆■2017年7月:アンドリューロバートソン

前所属:ハル・シティ
移籍金:1,000万ポンド(約16億円)

 エドワーズSDが手掛けた最高のビジネスの一つに位置づけられるのが、スコットランド代表DFアンドリューロバートソンの獲得だ。前年度に降格の憂き目にあったハル・シティからロバートソンを獲得するのに、リヴァプールが費やした額はわずか800万ポンド(約13億円)。アドオン込みの総額でも1,000万ポンド(約16億円)だった。当時23歳の左サイドバックは、すぐにレギュラーポジションをつかめたわけではなかったが、シーズン途中に元スペイン代表DFアルベルト・モレノが負傷離脱している間にチャンスが到来すると、見事にそれを活かした。リヴァプールOBで現在は解説者として活躍する元イングランド代表MFジェイミー・レドナップ氏は「マンチェスター・Cは両サイドバックの補強に1億3,300万ポンド(約211億円)も使ったんだ。800万ポンドのロバートソンはお買い得と言うほかにないよ」という理由で、2017-18シーズンの“バーゲン・オブ・ザ・イヤー”にロバートソンを迷わず選出していた。

◆■2017年8月:アレックスオックスレイドチェンバレン

前所属:アーセナル
移籍金:3,500万ポンド(約56億円)

 3,500万ポンド(約56億円)という金額には、眉をひそめる人も少なくなかった。イングランド代表MFアレックスオックスレイドチェンバレンは、17歳で加わったアーセナルでは6年間で公式戦198試合に出場し、20ゴールを記録。新天地での挑戦を決意したのは、24歳になった直後のことだった。チェルシーへの移籍の噂も出ていたが、ユルゲン・クロップ監督の存在が決め手となり、リヴァプールを選んだという。しかし、加入初年度の終盤に十字じん帯断裂の重傷を負い、翌シーズンはほぼ稼働することができず。その後も戦力アップを続けるリヴァプールで出場機会を得るのに苦戦してきた。今シーズンはベンチに入れない日も少なくなかったチェンバレンだが、『ミラー』は「同選手がリヴァプールで成功していないとは言えないだろう」と擁護。ただし「少しばかりケガが多すぎる」と付け加えることを忘れなかった。

◆■2018年1月:フィルジル・ファン・ダイク

前所属:サウサンプトン
移籍金:7,500万ポンド(約119億円)

 2018年1月にリヴァプールサウサンプトンからオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクを引き抜くために支払った金額は、ディフェンダーとしては当時史上最高額となった7,500万ポンド(約119億円)。高額過ぎると批判する人は、今では皆無だろう。2017-18シーズンの開幕前から移籍を志願していたファン・ダイクリヴァプールのほか、チェルシーアーセナルも獲得に名乗りを上げていたなか、冬の移籍市場でようやく念願が叶いリヴァプール入りが実現した。ファン・ダイクはすぐにチームフィットし、“レッズ”の最終ラインに安定感をもたらした。リヴァプールの近年の成功は、ファン・ダイクがいなければ成し得なかったと言っても過言ではないはずだ。

◆■2018年7月:ナビ・ケイタ

前所属:ライプツィヒ
移籍金:5,200万ポンド(約83億円)

 2017年夏にリヴァプール入りが内定していたギニア代表MFナビ・ケイタ。1年後にライプツィヒからリヴァプールに合流すると、元イングランド代表MFスティーヴン・ジェラード氏が長年にわたって同クラブで着けていた背番号「8」を本人から直接譲り受けた。負傷離脱が多く、期待に応えることができずにいたN・ケイタだったが、『アンフィールド』で4年目となる今シーズン存在感を発揮。クロップ監督はその理由について「長い間ケガをせずにフィットしているからだ。ナビ(・ケイタ)が素晴らしい選手なのはずっと明らかだった」と、コンディション次第であることを強調した。同指揮官は「ビッグゲームを振り返れば、ナビが頻繁にピッチに居ることが分かるだろう」と、N・ケイタへの信頼を口にした。

◆■2018年7月:ファビーニョ

前所属:モナコ
移籍金:4,300万ポンド(約68億円

 N・ケイタと同じ日にリヴァプールに加入したブラジル代表MFファビーニョ。2016-17シーズンモナコの17年ぶりとなるリーグ・アン優勝に貢献すると、翌シーズン終了後に4,300万ポンド(約68億円)でリヴァプールへと加わった。当時、クロップ監督はファビーニョの持ち味について「最高のレベルで複数のポジションをこなす能力とメンタリティがある」と分析し「6番と8番、そして2番をこなせる。クールだね」と期待を寄せた。センターバックが相次いで離脱した時期には最終ラインに入ってチームを支えたこともあったファビーニョ。今ではチームに欠かせない存在となったファビーニョの獲得は、エドワーズSDによる最高の“ファインプレー”だったと『ミラー』は評価している。

◆■2018年7月:ジェルダン・シャチ

前所属:ストーク
移籍金:1,300万ポンド(約21億円)

 2018年夏のワールドカップスイス代表をベスト16に導いた10日後、MFジェルダン・シャチリはリヴァプールとの契約書にサインを交わした。ストークに支払われた金額は、契約解除金に相当する1,300万ポンド(約21億円)。2014年にもリヴァプール入りの噂が出ていたシャチリだったが、当時の所属先であるバイエルンが阻止したと伝えられていた。リヴァプールでは所属した3年間で公式戦63試合に出場。プレミアリーグでの先発出場は18試合だけだったが、攻撃的なポジションならどこでもこなせる貴重な戦力としてチームに貢献した。2021年夏にリヨンへと移籍した際には、950万ポンド(約15億円)の移籍金が発生したことを考えても、シャチリの獲得は悪くないビジネスだったと『ミラー』は結論づけている。

◆■2018年7月:アリソン

前所属:ローマ
移籍金:6,500万ポンド(約103億円)

 2017-18シーズンのCL決勝でレアル・マドリードに敗れたリヴァプールに唯一欠けていたのが、ワールドクラスゴールキーパーだった。そのため、リヴァプールは6,500万ポンド(約103億円)という当時ゴールキーパー史上最高額となる移籍金を費やして、ローマからブラジル代表GKアリソンを獲得。クラブの選択に間違いがなかったことは、すぐに証明された。加入初年度にリヴァプールへとビッグイヤーをもたらしたアリソンは、2年目には30年ぶりのリーグ制覇に貢献。今シーズンも三冠を目指すリヴァプールゴール前に立ちはだかっている。リヴァプールに高額移籍を果たした直後、アリソンローマでもチームメイトだったサラーを例に挙げ「サラーの移籍はローマにとって良いビジネスだったと考えられていたけど、今ではリヴァプールにとって良い契約だったと誰もが言う。僕も努力をして、移籍金が高くなかったと思ってもらえるようにしたい」と語っていた。その目標はすでに達成済みだ。

◆■2019年6月:セップ・ファン・デン・ベルフ

前所属:ズウォレ
移籍金:440万ポンド(約7億円)

 即戦力以外でエドワーズSDが最初に獲得した選手は、U-21オランダ代表DFセップ・ファン・デン・ベルフだった。ズウォレから加入した当時17歳センターバックは、オランダの強豪アヤックスPSVのほか、バイエルンからも注目されていた。ファン・デン・ベルフは、初期費用130万ポンド(約3億円)、アドオン込みで440万ポンド(約7億円)の移籍金でリヴァプールへと加入し、2021年2月からEFLチャンピオンシップのプレストンへと期限付き移籍。すぐにレギュラーに定着し、18カ月で公式戦64試合に出場した。ファン・デン・ベルフとの契約が、大当たりとなるか否かはまだ分からない。しかし、エドワーズSDが携わった最初の9例を見れば、成功する可能性が高いだろうと『ミラー』は予想している。

(記事/Footmedia

エドワーズSDがリヴァプールに引き入れた10選手を、英メディア『ミラー』が紹介 [写真]=Getty Images


(出典 news.nicovideo.jp)