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「みんなが韓国戦の重要性に気づいて、意識してもらいたいと思います」と試合前日の記者会見で意気込みを語っていたキャプテンのDF吉田麻也(サンプドリア)の言葉が伝わったのか、日本代表パフォーマンスは非常に高いものとなった。

25日、国際親善試合では10年ぶりの対戦となる韓国代表との一戦。日本は代表デビュー戦となったDF山根視来(川崎フロンターレ)の史上34人目となるデビューゴールで先制すると、MF鎌田大地(フランクフルト)のゴールで追加点。後半にはMF遠藤航(シュツットガルト)がCKからヘディングで決め、3-0で勝利を収めた。

10年前の札幌ドームでの3-0の快勝を再現した日本代表。当時試合に出たのはDF吉田麻也のみであり「いかにこの試合が日本代表にとって大切なことかを伝えていけないといけない」としていたが、その気持ちがチームにも伝わった快勝だった。

◆ワナにハマらなかった対応力

韓国代表にはFWソン・フンミン(トッテナム)やFWファン・ウィジョ(ボルドー)、FWファン・ヒチャン(RBライプツィヒ)と主力であり、ヨーロッパプレーしている前線のタレントが招集できなかったこともある。彼らの存在感も大きいが、パウロ・ベント監督は「彼らがいたら結果が違ったかということは言うべきではない」と語り、限られた条件下で戦うことは平等だと主張。日本のパフォーマンスを素直に評価していた。

しかし、そのパウロ・ベント監督も無策で日本戦に臨んだ訳ではなかった。試合後の記者会見では、MFイ・ガンイン(バレンシア)のポジショニングについての質問が飛ぶと「日本のディフェンスラインを撹乱するというか」と語り、中途半端なポジションを取ることで、日本のディフェンスを崩そうと画策。「そこで隙を突いて、引き寄せて、スペースを作って後ろの選手が入っていく。あるいは、ナム・テヒも使えればと思っていた」と、狙いを明かしていた。

トップに誰が起用されるのかが不透明の中、蓋を開けるとイ・ガンインがサイドに開く訳でもなく、下がってボールを受ける訳でもないゼロトップの位置に起用されていた。しかし、前半は全く韓国は攻撃の色を出せていなかった。

この件については試合後に吉田も言及。「試合をやり始めてすぐに20番の選手(イ・ガンイン)が張るわけでも落ちるわけでもない中途半端な位置だなと思っていて、そういうことを狙っているかなと感じました」と語り、しっかりとピッチ内で判断できていたことを明かした。

それでも「FWは予想とは違いました」と、試合前に思っていたのとは違う展開になったものの、対応力を見せたディフェンスライン。相手に食いついてしまっていれば、韓国の思うツボであり、違う試合展開になっていた可能性もある。そのあたりの対応力は、昨年11月に敗れたメキシコ代表との試合での反省が生かされていると言っても良いだろう。それだけ、集中して、この一戦に懸けていたことの現れでもあったと言える。

◆監督も感じる手応え

森保一監督も一定の手応えを感じており、韓国戦快勝の理由には昨年10月11月ヨーロッパ遠征があるとコメント。「去年の10月11月ヨーロッパで強豪相手に試合をさせてもらうことができて、世界で勝つための基準を持ちながら、またアジアでも戦っていこうということが今日の試合に生きたのかなと思っています」とし、高い基準を体感した結果が、しっかりとピッチで表せたと感じたようだ。

10月にはカメルーン代表、コートジボワール代表とアフリカ勢と対戦し1勝1分け、11月にはパナマ代表とメキシコ代表と対戦し1勝1敗。ヨーロッパプレーする選手が日本だけでなく相手も中心となった中で、高い強度でプレーできていたが、その直後の試合が韓国戦だったことも1つ力を継続して出し切れたポイントだったのかもしれない。

また、森保監督も選手たちの修正力を指摘。パウロ・ベント監督が試合中にシステムを変えることに関して「システム的に韓国が4バックと3バックを併用することは選手たちには伝えていました」とコメント。2-0で日本がリードして迎えた後半には、韓国は3バックに変更して巻き返しを図ってきた。

それでも日本は無失点で試合終了。森保監督は「試合が始まってみないとわからないので、選手たちはその情報を持ちながらも、自分たちでコミュニケーションをとって修正しながら戦ってくれました」と語り、ピッチ上で選手たちがしっかりと対応したことを評価していた。

◆いざW杯予選へ

結果、内容ともに充実感のある日本。続くのは、カタールワールドカップ予選のモンゴル代表戦だ。

韓国代表とは異なり、日本を相手に引いてブロックを敷いて来る可能性は高い。特に、ホームでは日本が6-0で快勝しているだけに、その経験も生かしてくるだろう。

ウェイゲームとはいえ、今回はコロナ禍の影響もあって日本で開催される一戦。昨日行われたタジキスタン代表との一戦でも3-0と敗れ、グループ最下位のままであり、一矢報いに来るはずだ。

この試合で2得点に絡んだFW大迫勇也(ブレーメン)も引いて守ることが予想される相手に対しては「僕はそっちの方が得意なので、全然心配していないですし、チームが勝てるように全力を尽くすだけです」とコメント。韓国戦で挙げられなかったゴールに意欲を燃やした。

今回の試合ではデビューした選手も多く、モンゴル戦でも力になるはず。しっかりと勝利を収め、最終予選進出に大きく近づきたいところだ。

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(出典 news.nicovideo.jp)