チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグD組第4節リバプール対アタランタの試合が現地時間25日に行われ、アタランタがアンフィールドで64試合傷がついていなかった2年前のCL王者を下した。
リバプールのスタメンの半分近くがレギュラーメンバーではなかったにせよ、格上相手に0-2で勝利したアタランタ。
同試合におけるアタランタのプレッシング、攻撃、そして得点シーンについて戦術的に分析していきたい。
スターティングメンバー
大会:CLグループリーグD組第4節(2020年11月25日)
開催地:アンフィールド
スコア:0-2
リスク回避を施したマンツーマンディフェンスと仕掛けた罠
まずは、アタランタを象徴する彼らのマンツーマンでの守備について振り返る。
上図を見ていただくと分かるように、アタランタは、リバプールのサイドバック(以下「SB」)以外に最初からマークしている。
センターバック(以下「CB」)がボールを持つとアタランタのフォワード(以下「CF」)が寄せに行く。そうすると当然リバプールのCBはフリーのSBにパスを出す。このパスをトリガーとしてアタランタのウィングバック(WB)がプレスに行き、同時に周りは相手の選手をしっかりと捕まえているので、リバプールのSBはパスの出しどころがない状況に陥る。この試合ではSBが2人ともレギュラーではなく、アレクサンダー=アーノルドやロバートソンほどビルドアップの能力が高くないことも相まって、この罠はリバプールをも飲み込んだ。
また、アタランタは最終ラインではリバプールの3トップに対して3対3の数的同数を受け入れている。よって最終ラインまで一気にロングボールを蹴られるとピンチにつながる可能性が高いが、ボールホルダーに対して厳しくプレスをかけて簡単にロングボールを蹴らせないようにしていた。また、アタランタの3バックは全員185cmを超えており、空中戦には滅法強い。実際、マネに対して数回ロングボールが放り込まれたが、トロイがすべて跳ね返していた。最終ラインでの数的同数というリスクをできるだけ軽減するような戦術を採用していたのだ。
計算された裏抜け
続いて、アタランタのビルドアップと裏へのロングボールについて考察していきたい。
リバプールの3トップのプレスに対して、アタランタは隙を見てボランチ(以下「CH」)のデローンやフロイラーが降りて最高峰は4枚でビルドアップを開始。ビルドアップの出口をWBに設定し、左右のCBとWB、CH、CFの4人で動きながらマークをかく乱し、少ないタッチで突破を狙う。この4人が織りなす動きにはパターンがあるわけではなく、あるプレー原則に基づいているので対策が難しい。
そして、興味深かったのが左WBゴセンスの裏抜けへのロングボールだ。
中央CBのロメロがロングボールを蹴ろうとすると、CFのゴメスがリバプールの右SBネコ・Wの前に立ち、“あえてマークされる”(ちなみにこのプレーは「ピン留め」と呼ばれている)。
これによってゴセンスがフリーで裏抜けできるような仕組みになっており、一気にリバプールの守備を破ることができていた。また、マティプがヘディングで跳ね返したとしても、戻りながらのヘディングなのでボールがあまり飛ばず、さらに陣形が間延びするためにセカンドボールを拾われていた。
死角と高さを生かした論理的なゴール
得点は2つとも、ペナルティエリア角近くから放たれたゴメスのクロスより生まれている。このようなクロスは以下の点で有効である。
特に②の点で大きな差があった。アタランタの選手は体格的に優れており、2点目のシーンで競り合ったハテブールはリバプールの左SBよりも10cm程度高い。ゴメスからのクロスを悠々と折り返し、致命的なゴールが生まれた。
おわりに
2点を決めて、70分以降からはアタランタは攻められる回数が増加した。前述の通り彼らはマンツーマンで守るために相手選手の移動に付いて行くので、体力的な疲弊が激しい。試合の終盤にはマークすべき対象との距離が離れ、余裕をもってボールを前進させられていた。強力なCBらがボールを跳ね返し続け何とか無失点でしのいだが、自陣のゴール前で相手の攻撃が続くというのは体力的にも精神的にも辛く、そして相手ゴールとの距離も遠くなるのでカウンターが効きづらくなる。
(出典 news.nicovideo.jp)
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