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【スペイン発コラム】開幕から2試合連続の途中出場、短い時間ながら見せ場を作る

 ビジャレアルは19日、リーガ・エスパニョーラ第2節でエイバルとホームで対戦した。ビジャレアルのMF久保建英、エイバルのMF乾貴士、FW武藤嘉紀が所属するチーム同士の対戦について、スペイン紙「マルカ」は試合当日の紙面で「日出ずる国の試合」と題し、スペイン1部リーグ史上初の日本人3選手が同時にピッチに立つ、日本にとって歴史的な一戦となる可能性があることを強調した。

 ビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、前日の記者会見で「タケは順応を必要としている」と、久保がまだチームに完全にフィットしていないことを強調しており、実際に開幕から2試合連続でのベンチスタートとなった。

 この日のビジャレアルのシステムは4-4-2。中盤より前のポジションは前節ウエスカ戦から変化がなく、ダブルボランチにMFダニエル・パレホとMFフランシス・コクラン、右サイドハーフにMFサムエル・チュクウェゼ、左サイドハーフにMFモイ・ゴメス、2トップにFWジェラール・モレノとFWパコ・アルカセルが入った。

 0-0で折り返した後半開始直後、エイバルに先制を許したビジャレアルだが、G・モレノとアルカセルがゴールを決め逆転に成功した。そして久保にチャンスが与えられたのは後半40分。第1節ウエスカ戦(1-1)に続き2試合連続で“日本人対決”が実現した一方、武藤に出番がなかったため、3選手同時にピッチに立つことはできなかった。

 エメリ監督は久保投入時、システムを4-3-3に変更した。右ウイングでプレーした久保は、サイドでDFケビン・ロドリゲスを切れ味鋭いドリブルで振り切り、味方が触れればゴールというグラウンダーの惜しいクロスをゴール前に送った後、G・モレノのシュートチャンスをお膳立てし、試合終了間際には自らシュートを打ち、ウエスカ戦よりも短い出場時間ながらいくつもの見せ場を作った。2-1で勝利したチームは今季初の勝ち点3を獲得している。

 ビジャレアルの地元紙「エル・ペリオディコ・メディテラネオ」は、試合翌日の紙面で久保を「他とは異なる才能を備えた選手」と評価し、出場時間が短かったにもかかわらず6点(最高10点)を付けた。ビジャレアルで最も評価の高かった選手は、巧みな個人技で素晴らしいゴールを決めたG・モレノで8点だった。

リサラガ記者「タケをもっと早くに投入すべきだった」

 ビジャレアルを約20年取材し続けている同紙のスポーツ部チーフ、ホセ・ルイス・リサラガ記者に試合後、わずかな出場時間だった久保の起用法について語ってもらった。

「タケの出場は再びあまりにも遅すぎた。なぜならビジャレアルは今日、ラストパスの精度を少し欠いていたからね。その能力に長けたタケをもっと早くに投入すべきだった。しかしわずかな時間ながらも、彼の出場はビジャレアルにとって大きなものとなったはずだ。彼はプレーを活性化させ、サイドでスピードをもたらし、相手ゴールに迫っていたし、ウナイ・エメリ監督はタケにそれらの要素を求めている」

 そしてリサラガ記者は、「まだタケはビジャレアルのプレースタイルに完全にフィットしているわけではないが、今日もビジャレアルの攻撃を活性化した。終盤の決定機は外したが、相手ゴールに辿り着くための“火花”、スピーディーなドリブル、最後の局面でのインテリジェンスを備えた選手だ」と高く評価した。

 久保の今後については「私はタケが少しずつ成長し、徐々に重要な役割を果たし始めていると思う。そしてビジャレアルがUEFAヨーロッパリーグの戦いをスタートさせた時、エメリ監督が出場時間を分配し始めることは彼にとって有利に働くだろう。必要な出場時間を与えられ、自信を得ることは間違いなく良いものになるはずだ」との見解を示した。

 ビジャレアルはこの後、27日に行われる第3節で今季のリーグ初戦となる強豪バルセロナとアウェーで対戦する。初勝利を挙げただけに、エメリ監督が大きくメンバーを変える可能性は低いと思われる。しかし久保はこのエイバル戦で、与えられたわずかな時間で持ち味を発揮した。自身2度目となるカンプ・ノウでの一戦のパフォーマンスに期待したい。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)

ビジャレアルMF久保建英【写真:Getty Images】


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