(出典 www.football-zone.net)



バルサ贔屓紙「ムンド・デポルティーボ」のボス記者が論評で獲得失敗の経緯に見解

 日本代表MF久保建英は今夏にレアル・マドリードと契約後、同じスペイン1部マジョルカに1年間の期限付き移籍を決断。現在は5試合連続でスタメン出場を果たすなど、試合を重ねるごとに存在感を増している。バルサの下部組織で育ち、18歳になると同時にバルサに戻ることが“既定路線”と見られていただけに、ライバルであるレアル行きは話題を呼んだが、バルサ贔屓で知られるスペイン紙「ムンド・デポルティーボ」は、「タケ・クボの一件の真実」と題し、バルサが久保獲得に至らなかった経緯を論評で報じた。

 2011年から4年間、バルセロナの下部組織で育った久保は、日本でのプレーを経て今夏にレアル加入を決断。今季はマジョルカへ期限付き移籍したが、宿敵の一員となったことから、現地時間12月7日リーガ第16節バルセロナ戦(2-5)では古巣の本拠地カンプ・ノウからは盛大なブーイングが送られることになった。

「ムンド・デポルティーボ」紙のハビエル・ボス記者は、今回の移籍劇に関して論評で自身の見解を示している。

バルサは彼を求め、すでに18歳となった少年(久保)は家に戻ることを望んでいた。それは確かだ。しかし、最初の話し合いで全員がその違いを目の当たりにすることになる。ラモン・プラネス(強化技術部長の補佐役)とホセ・マリ・バケーロ(下部組織の最高責任者)は、マヌエル・フェレールを筆頭とするタケの代理人が求めているものはクラブが提示していたバルサBの年俸とはかけ離れているということを確認した。ここ(バルセロナ)へ戻るため、1シーズンあたり200万ユーロ(約2億4000万円)とエージェントへのコミッション(手数料)を求めていた」

 金銭面に加え、外国人枠の問題、そしてレアルのフロレンティーノ・ペレス会長の存在が、バルセロナとの契約の障害になっていたとボス記者は主張する。

「もう一つ乗り越えるのが難しいとみられるものがあった。バルサ外国人枠はこの時点で埋まっており、選手がトップチームへたどり着くための余地がなかった。その後、マルコム(現ゼニト)の放出により、(エルネスト・)バルベルデ監督のプランに入る可能性もあった。しかし、バルサは求めていた条件を呑むことを望まず、タケはマドリードへ移籍した。なぜならフロレンティーノ・ペレスは、それが誰であろうと、新しいメッシが白いユニホームを着ることを望んだ。いまだ“ネイマールシンドローム”を抱えるフロレンティーノは、新たなサッカーの宝石になり得る原石を逃したくなかった。さらに、その宝石がバルセロナへ戻って輝きを磨くなんて許せなかった」

「アンス・ファティに勝負を賭け、バルサは久保を逃した」

 記事によれば、レアルバルサ入りで口頭合意していたFWヴィニシウス・ジュニオールやFWロドリゴも“強奪”。久保を含めてバルサがマネーゲームに参戦しなかったのは、今季クラブ史上2番目の若さでデビューしたU-21スペイン代表FWアンス・ファティの存在があったからだという。

「マドリードバルサ入りに口頭合意以上のところまで達していたヴィニシウスに対してバルサの4倍、ロドリゴには2倍の金額を払った。久保建英には支払いを拒んだ額を払った。判断の問題については、経済的な枠組みのなかで管理されるべきスポーツ方針のラインを壊さないということ。アンス・ファティに勝負を賭け、6月にはいくらかの黒字が出るように数字を調整しなければならず、財務的にはそれ以上のことが許される状態ではなかった。バルサは久保を逃した。彼のために勝負を賭けることをしないと決めたのだ」

 久保は今もメッシアイドルとしており、世界最高の若手選手は(キリアン・)ムバッペだと考えている。彼は日本とリーガアイドルであり、今後YouTubeで多くの映像を残すことになるだろう。それがマジョルカなのか、マドリードなのか、あるいはどこなのかは分からない。予言できそうなのは、もしバルサがタケと契約していたとすれば、アンス・ファティはまだトップチームデビューしていなかっただろうということだ」

 下部組織時代に一緒にプレーした経験を持つ久保とファティの運命が、複雑に交錯した形だが、最終的にバルサレアルはどちらが笑うことになるのだろうか。(Football ZONE web編集部)

レアルからマジョルカに期限付き移籍中のMF久保建英【写真:Getty Images】


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