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Jリーグで最もゴールを記録している男・元日本代表FW大久保嘉人12月12日ジュビロ磐田から戦力外通告を受けた。

福岡県で誕生した大久保は、小学校卒業後に長崎県の国見中学校へ入学。当時の総監督であった小嶺忠敏監督の下でサッカーを学ぶと、進学した国見高校では3年次にインターハイ、国体、全国高校サッカー選手権の高校三冠を達成し、エースとして活躍。インターハイと選手権では得点王に輝いた。

引く手数多の大久保は、2001年セレッソ大阪へと入団。得点力を期待されたものの、1年目はケガの影響もありわずか2得点に終わっていた。しかし、2年目はJ2で18得点を記録すると、3年目はJ1で16得点とその能力を発揮。以降もゴールを重ねていった。

ゴールを奪う能力を持ちながら、まずまずの結果に終わっていた大久保だが、その才能が開花したのは、2013年に加入した川崎フロンターレで間違いない。

川崎Fで開花、3年連続得点王
30歳になっていた大久保だが、川崎Fではパスの供給役であるMF中村憲剛とのコンビを確立し、Jリーグを席巻。加入1年目で33試合に出場し26得点を記録すると、自身初の得点王のタイトルを掴んだ。

さらに、2年目は32試合で18得点、3年目は32試合で23得点を記録し、2013年から3年連続で得点王。これはJリーグ史上初の快挙となり、ゴールを求められる大久保にとっては名誉な記録だろう。

川崎F大久保ゴールを量産できたのには、前述の通り中村憲剛という日本屈指のパサーが居たことが大きな要因の1つだ。

大久保170cmとストライカーとして決して恵まれた体格ではない。しかし、ボール保持者と相手GKとゴール同一視野にとらえる能力や、ポジショニングの巧みさ、プルアウェイの動きでマークを外す能力に長けていた。そして、その大久保の能力を最大限に引き出したのが中村憲剛だ。

一方で、大久保プレーにも変化が生まれた様に感じる。年齢的にもチームの中では年長者となり、ガムシャラにゴールを目指すだけでなく、ポジションを下げて組み立てに参加したり、周りとの連携でゴールを目指すプレーが増えた。相変わらず黄と赤のカードとの付き合いはあったが、川崎Fというクラブの中でゴールを奪うことに集中できたことは、4シーズンで82得点と量産することに繋がったのだろう。

◆まだ衰えるには早い
数字だけで見れば、この数年の落ち込みは衰えたと言われても仕方がないかもしれない。ただ、プレーするポジションが徐々に下がっていった影響もある。また、チームへのフィットという点でも難しい時期が続いた。

ゴールの近くでプレーしてこそ真価が発揮される大久保だが、磐田ではなかなか最前線で起用されることは少なかった。フェルナンド・フベロ監督就任後は前線で起用されたものの、チームの不振を払拭する活躍はできず。それでも、負ければ自動降格が決定する第33節の名古屋グランパス戦では、終盤に決勝ゴールを記録。結果的にこの試合後に降格が決定したが、大久保ゴールでスタジアムの盛り上がりは最高潮に達した。

Jリーグ通算200ゴールという大台まではあと「15」。「サッカーに対する情熱は全く衰えていません」という言葉通り、まだまだゴールを決め続けることはできるはず。「大久保ピッチに立つと何かやりそう」という相手、観る者を巻き込む雰囲気は今だに持ち続けている。そういった点では、衰えたとは言えないだろう。

ただし、偉大な記録を達成するためには、ストライカーとして大久保の力を必要とするチーム、そしてパスを供給できる選手がいるチームに移籍するべきだろう。予想の域を出ない状況ではあるが、年齢を残されたキャリアを考えると絞り込めてくるものはある。

◆行き先はストライカーとして輝ける場所
例えば、来シーズン13年ぶりにJ1リーグで戦う横浜FCベテラン選手が多く在籍するチームだが、磐田や日本代表チームメイトとして戦った中村俊輔という日本屈指のパサーがいる。J1での経験値、得点力が必要な横浜FCとしては、願ってもない選手と言ってもいいだろう。

その観点で言えば、小野伸二が所属するFC琉球も面白いかもしれない。J2参戦1年目の琉球は、序盤戦は攻撃的なサッカーでJ2の台風の目となっていた。多くの選手が退団している現状もあり、大久保のような経験者を迎えてチーム力を上げることもあるだろう。2018シーズンの播戸竜二(2019年に引退)の例もある。

また、年齢を考えれば故郷に帰るということもあるだろう。生まれ故郷の福岡県には、アビスパ福岡ギラヴァンツ北九州の2チームがあるが、地元という点では北九州が近い。来季からJ2に舞台を移すだけに獲得できたら盛り上がることは間違いない。また、中高を過ごしたV・ファーレン長崎もあるかもしれない。さらには、高校の大先輩である高木琢也監督率いる大宮アルディージャや、永井秀樹監督率いる東京ヴェルディも有り得るかもしれない。

ここまで挙げたチームは全て単なる憶測であり、何の根拠もないものだが、1つ言えることは大久保ゴールを観たいと思っているJリーグファンは少ないくないということ。どのチームプレーするかは分からないが、確実に観る者を興奮させる大久保ゴールをまだまだ観たいものだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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