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著者:秕タクヲ

トッテナムにとって2019年は不思議な1年になったことだろう。それは2つの「まさか」を経験したからだ。

1つのまさかは昨シーズンチャンピオンズリーグで史上初のファイナルへ進出したということ。そしてもう1つのまさかはチーム指揮官ジョゼ・モウリーニョが就任したということだ。

シーズンの終盤から、明らかに低調なパフォーマンスだったことは否めず、ついにトッテナムはマウリシオ・ポチェッティーノの解任とジョゼ・モウリーニョの招聘という大きな決断に踏み切った。

この決断が数年後正しいと言えるのかどうかまだ判断するのは時期尚早ではあるが、就任からわずか数日という中で迎えたウェストハム戦でかつてのネガティブ戦いぶりからガラリと生まれ変わらせた。終盤に1点差まで迫られたものの勝ちにこだわり続けたトッテナムに軍配が上がった。

一体かつてのチームをどのように生まれ変わらせたのか。今回は稀代のカリスマトッテナムにもたらしたものを紐解きたい。


◆1月から続いたアウェイ勝ちなしを就任1試合目で止める

長らく続いたトッテナムの不調を象徴するのは、「安定感の欠如」と「アウェイでの体たらく」であった。しかし、今回のウェストハムではこうした課題を消し去ろうとするチームの意識が感じ取られた。ボールに対してこだわる全体的な動き、ハリー・ケインでさえ時には自陣深くまで戻り守備をするほどだ。こうした意識はリーグ戦における306日ぶりのアウェイ戦勝利をもたらした。

◆足下でもらうだけのつまらないサッカーからスペースでもらう動きを加えて攻撃を活況にさせる

凝り固まった攻撃スタイルにメスを入れたモウリーニョは称賛されるべきだと考える。今シーズントッテナムの攻撃における問題点はボールを足下でもらいすぎる点であった。ペナルティーエリア付近まで簡易に持ち込めるもののスピードが一旦0になる結果、相手ディフェンダーは守りやすくなりゴールに迫る決定打が足りなかった。しかし、この試合では足下でもらうだけでなく、「スペースに走り込む動き」も加えて攻撃にダイナミズムを生み出した。スピード定評のあるソン・フンミンとルーカス・モウラが両サイドにいるのだから脅威になることは自明なことだった。ソン・フンミンからのグランダーのクロスに合わせたルーカス・モウラのゴールはまさに好例と言えるだろう。

◆意志の持つパスが増える

無意味なボール回しほど見ていて退屈にさせるものはない。魅力的ではないチームに挙げられる特徴は、無意味なパス交換や論理的でないプレイヤーの動きである。この習慣に慣れすぎてしまうともちろんだが試合に勝利することは夢のまた夢だ。トッテナムはかつてのスタイルを思い出したかのように、長短遅早を織りなすパスで相手を翻弄させた。
特にこうしたスタイルで活躍できるのは紛れもなくデレ・アリであり、チャンスメイクには必ずと言っていいほど絡んだアリはモウリーニョ政権において時代を切り開く存在になるのではないかと確信さえ覚える。


とはいえ、まだ1試合を勝利しただけに過ぎない。次節以降こうした順調なパフォーマンスを継続させることができなければ全くの無意味である。来月にはマンチェスター・ユナイテッドチェルシーなどかつてモウリーニョが率いた強力な相手との対戦が待ち受けている。実力拮抗同士の一戦に競り勝ち、復活の産声を上げることができるか。今後のトッテナムには目が離せない。



(出典 news.nicovideo.jp)