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 まさに、向かうところ敵なし、である。

 今シーズンプレミアリーグは、唯一の開幕11試合無敗(10勝1分け)。昨シーズンから数えると28試合連続で負けていない。チャンピオンズリーグ(CL)ではナポリとの初戦に敗れたものの、その後は3連勝。5日のヘンク戦に勝利してグループ首位に躍り出るなど、“欧州王者”の看板に恥じない結果を残している。

 加えて、今の彼らは神がかっている。10月以降のプレミアリーグは、すべて75分以降の得点で勝ち点3、もしくは勝ち点1を獲得。後半アディショナルタイムにPKを決めて勝利したレスター戦(2-1)を皮切りに、マンチェスター・U戦(1-1)、トッテナム戦(2-1)、そしてアストン・ヴィラ戦(2-1)と、劇的な形で結果を手にしてきた。壮絶な撃ち合いの末に準々決勝進出を決めたカラバオ・カップアーセナル戦からも、真の強者としての風格を感じさせる。

 もはや“無敵”と言っても過言ではないリヴァプールだが、彼らを倒さずして悲願のリーグ優勝は成し遂げられないだろう。11月10日に行われるプレミアリーグ第12節では、ついにマンチェスター・Cとの直接対決を迎える。

◆■届かなかった“あと一歩”

 今さら言うまでもないことだが、昨シーズンリヴァプールに唯一、立ちはだかった相手がマンチェスター・Cだった。プレミアリーグで30勝・勝ち点97は、いずれもクラブ歴代最多。その“最高のリヴァプール”をも上回ったのが、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いるチームだった。マンチェスター・Cは、昨シーズンリーグ戦で唯一、黒星を喫した相手であり、シーズンを通じて唯一、勝てなかった相手(1分け1敗)でもある。優勝に手が届かなかった数少ない理由の一つが、王座を争うライバルに勝てなかったことだと言っていい。

 今シーズンの公式戦初戦となったコミュニティー・シールドでも、リヴァプールPK戦の末にマンチェスター・Cに敗れた。ユルゲン・クロップ監督が「失望はしていない。結果よりもパフォーマンスの方がずっと大事だったからね」と試合後にコメントしたように、あくまで“前哨戦”であり、タイトルとしての重要度も高くはない。第一、今夏のコパ・アメリカ2019アフリカ・ネーションズカップ2019開催の影響もあってお互いにベストメンバーを組めず、今回の対戦に向けて参考になる要素もほとんどない。ただ、またしても“あと一歩のところでタイトルを逃した”のは事実であり、聖地アンフィールドに宿敵を迎え撃つ今回こそ勝利をつかまなければならないだろう。

 そのための条件は整っている。ホームでのプレミアは現在12連勝中。クラブレコードを更新中で、ホーム45戦無敗は欧州5大リーグの現行記録で最も長い。たとえマンチェスター・Cであっても、この要塞で普段通りのパフォーマンスを発揮することは難しいだろう。対照的に、“コップ”の大声援に乗せられたリヴァプールは勢いをさらに増すはずだ。今の彼らに、ホームゆえの重圧など存在しない。

 またリヴァプールは、試合間隔でも1日のアドバンテージがある。マンチェスター・Cは6日のCLアタランタ戦からリヴァプール戦まで中3日。しかも、アウェイ2連戦となる。対照的に、リヴァプールはCLから中4日、そしてホーム2連戦と断然有利な状況にある。さらに、5日のヘンク戦ではローテーションを採用。サディオ・マネ、ロベルトフィルミーノ、アンドリューロバートソンの主力3選手はベンチからのスタートとなり、プレー時間は20分以下に抑えられた。体調不良のジョーダン・ヘンダーソンには休養が与えられるなど、大一番へ向けた調整に余念がない。

◆■不安定な守備陣……対策は?

 万全を期するクロップ監督だが、気がかりな部分があるとすれば守備だろう。目下、公式戦8試合連続失点中。プレミアリーグでは直近3試合連続で先制点を許している。ヘンク戦後、指揮官は「心配していない」と不安を一蹴したものの、昨シーズンに鉄壁を誇ったディフェンスは上手く機能しているとは言い難い。守護神のアリソンが戦列復帰を果たしてから無失点試合がなく、何らかの手を打たなければ、圧倒的な攻撃力を誇るマンチェスター・C相手に致命傷となりかねない。

 そこで注目されるのが、フィルジル・ファン・ダイクのパートナーとなるセンターバックの人選だ。“相棒”としての地位を確立していたジョエル・マティプは右ひざの負傷により欠場が濃厚。代役を“元”相棒のデヤン・ロヴレンやジョーゴメスが務めているが、前述のとおり失点癖は改善されていない。ロヴレンのスタメン起用が有力視されているが、セルヒオ・アグエロガブリエル・ジェズスといった巧さと速さに特徴のある選手とのマッチアップになることを考えると、ファビーニョがセンターバックとして起用される可能性も十分に考えられる。ヘンダーソン、ジェイムズ・ミルナー、ジョルジニオ・ワイナルドゥムのトリオで中盤を形成できれば、ひとつの選択肢として浮上するかもしれない。

 とはいえ、センターバックの人選に悩みを抱えるのは、むしろマンチェスター・Cの方。今のリヴァプールは攻め勝てるチームであり、修正は最小限にとどめて今の勢いをぶつけた方が上手くいく、と指揮官が考えたとしても不思議ではない。マネ、モハメド・サラーフィルミーノの最強3トップはもちろんのこと、公式戦ここ5試合で4ゴールと完全復活の予感を漂わせるアレックスオックスレイドチェンバレンの活躍にも期待できる。乱打戦になったとしても、リヴァプールには好都合だろう。

 2位マンチェスター・Cとの勝ち点差は「6」。この直接対決に勝てば、その差は9ポイントに広がる一方で、負ければ3ポイント差となる。いわゆる“シックスポインター”だが、リヴァプールとしてはドローでも御の字であり、あえてリスクを犯す必要はないかもしれない。しかし、12月からは、“超”がつくほどの過密日程に突入。約40日間で12試合が組まれている。12月17日のカラバオ・カップ準々決勝と、翌日の18日のクラブW杯準決勝は2チーム編成で臨むことがすでに発表されたが、それも気休めでしかなく、過酷なスケジュールであることに変わりはない。

 だからこそ、調子の良い今のうちにマンチェスター・Cを叩いて、その差を広げておきたいところだ。昨シーズンは最大7ポイントあった勝ち点差をひっくり返され、最終的には1ポイント差で優勝を逃した。つまり、勝ち点6差は決して“安全圏”ではなく、勝ち点9差をつけて初めてセーフティーリードだと言える。また、マンチェスター・Cに勝つか負けるかで、この先待ち受ける過密日程への臨み方にも大きな差が生まれるだろう。

 シーズンを占う大一番で、より勝利が求められるのはマンチェスター・C。その見方に間違いはないが、リヴァプールも一戦必勝でこのビッグマッチに臨む。

(記事/Footmedia

リヴァプールはプレミアリーグ第12節でマンチェスター・Cをホームに迎える [写真]=Getty Images


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