(出典 www.football-zone.net)



マジョルカとレアルに在籍したイバン・カンポ氏を直撃 久保が取り組むべきこととは?

 マジョルカの日本代表MF久保建英は、現地時間26日に行われたリーガ・エスパニョーラ第10節レガネス戦に後半14分から途中出場したが、得点に絡むことはできずチームも0-1で敗れた。3試合連続のベンチスタートとなり、果敢なドリブル突破を見せるシーンもあったが、期待される攻撃面で得点やアシストなど明確な“答え”を出すには至っていない。

 前節、“保有元”のレアル・マドリードとの試合でも後半途中から出場し、持ち味を発揮できなかった久保。下位に低迷するマジョルカで思うように出場機会を得られず苦しい時間を過ごしているが、スペイン参戦1年目の日本人アタッカーは、現地でどのような視線を向けられているのか。マジョルカとレアルのOBである、元スペイン代表DFイバン・カンポ氏を直撃。マジョルカでの現状と、名門レアルとの環境の違いなどについて語ってくれた。

 カンポ氏はここまでリーガで8試合に出場している久保について、「スペインではまだ何も披露していない」と言及したうえで、先発起用がまだ2試合という状況についてはビセンテ・モレノ監督の采配に「同意する」とした。そして久保に対し、カンポ氏はスペインサッカーにおける「動き方を学ぶべき」と指摘する。

「彼は日本では別の形のサッカーの理解、プレーの仕方をしていたのかもしれない。でもここ(スペイン)では、もっと戦術的で、守備時や攻撃時にすべきこと、どこでドリブルをしていいのか、どこでサイドチェンジするのか、ボールを失わずにキープするのかといったことが細分化されている。そういったことは、誰もが時間の経過とともに学ぶこと。一度学んでしまえば、その後はずいぶんと楽になる。30歳のベテラン選手はそうでもないが、18歳の選手は成長の余地がとてつもなくある。だから、今は学ぶべき時期なんだ」

 久保はかつて名門バルセロナの下部組織に所属していたが、カンポ氏の目から見てピッチ上での動きには課題があるようだ。そして18歳日本人アタッカーにはまだ成長の余地があり、今シーズンリーガの舞台で輝きを放つための基礎固めをする時期だと語る。

リーガ・エスパニョーラがどういうものなのか、ビセンテ・モレノ(監督)の下で先ほど言ったことを身につける“チャンス”がある。なぜチャンスなのかって、レアル・マドリードではそれだけのことを一から手助けしてくれる時間はない。マドリードでは毎週のように土曜、火曜と試合があり、そのペースが変わるとすれば代表ウィークで、招集されれば休むことがない。だがマジョルカでは、その時間がある」

レアル在籍時に一時うつ病を患う 「チームに関わるすべてのことにプレッシャーがある」

 アラベス、バレンシア、バジャドリード、そしてマジョルカと渡り歩いたカンポ氏は、1998年夏にレアルへと加入。2002年までプレーし、世界的ビッグクラブとその他クラブとの環境の違いを肌で感じてきたが、そんな自身もレアル在籍時に一時うつ病を患ったという。

トップレベルスポーツ界では、プレッシャーからプレーしたくないという心理状態になるケースがある。(ジャンルイジ・)ブッフォンがそうだったし、他にも例があり、過去にもあったのだろうが、最近は自ら告白する例が出ている。髪が長いとか短いとか、マジョルカでは自分のスタイルで愛されていたけど、マドリードへ行ったことでプレースタイルを変えなければならないとか……。これが自分のスタイルだから、髪の毛を切らないということで多くの批判も受けた」

 そのように当時を振り返ったカンポ氏は、「マジョルカには、この種のプレッシャーはない」と断言。勝利が義務付けられているレアルでは、「リーガだろうとチャンピオンズリーグだろうと国王杯だろうと、プレシーズンマッチだって試合には常に勝たなければならない。チームに関わるすべてのことに対するプレッシャーがある。あらゆることから一線を引かなければ、敗北が待っている」と、ピッチに立ってプレーする以前に、選手には重圧をはねのける強靭なメンタル、そして自身を巧みにコントロールする術が必要不可欠だと語る。

「(うつ病により)1カ月の間プレーから離れた。自分が望んでいる(精神)状態ではなく、なんの意欲もなかった。だから一度立ち止まり、あらゆるものからのつながりを一旦絶つことで良い状態に戻ることができた。その当時、1~3日のオフがあればパルマ(・デ・マジョルカ)へ来ていた。ここは僕にとって2番目の家で、故郷のサン・セバスティアンへ帰るかのどちらかだった。そうすることで、一息つくことを学んだ。ビッグクラブプレーしたいのなら、そういったことのすべてに直面せざるを得ないだろう。チームメートのなかで何人かが同じような悩みを抱えていたが、私はいつもリラックスすることの重要性を説明してきた」

 モレノ監督の指導の下でスペインサッカーの「動き方」を学び、マジョルカでの日々の生活からビッグクラブの重圧に打ち克つ術を会得すべき――。思うように出場時間を得られず、守備的な戦いを強いられるチームのなかで我慢の時が続く久保だが、来季以降のレアル復帰を見据えれば、この経験は必ずや生きてくるはずだとカンポ氏はエールを送っていた。(取材●島田 徹 / Toru Shimada 構成●Football ZONE web編集部)

マジョルカMF久保建英はまだ力を示していない【写真:Getty Images】


(出典 news.nicovideo.jp)