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【現地発】サラゴサの街を覆い尽くす背番号「23」の「SHINJI KAGAWA」ユニフォーム

 レアル・サラゴサの日本代表MF香川真司は現地時間21日、スペイン2部リーグ第7節でルーゴと対戦し、ホームで0-0と引き分けた。前節で今季2得点目を奪った香川は6試合連続で先発を飾り、トップ下でチャンスを演出したものの、チームネットを揺らすには至らなかった。一方でクラブ関係者は、今夏に加入した香川はサラゴサにもたらした最も大事なものについて語っている。

 試合前、ある人物と待ち合わせをしていた。サラゴサの本拠地ラ・ロマレーダに隣接しているオフィシャルショップの前で落ち合うことになっていたが、待っている間、サポーターたちからは「シンジ! シンジ!」と怒涛のように声を掛けられた。40分後にキックオフを控えている段階で、現れたのはクラブの広報部長、カルロス・アロンツ氏だ。

 この日はカルロス氏に挨拶した後、チケットを購入し試合を観戦する予定でいたが、「こちらにどうぞ!」とスタジアムの中へと案内された。メインスタンドのど真ん中に一席設けられており、「君のために用意した席だ、まずは試合を楽しんでいってくれ! 終了後に迎えにくるよ」と握手を交わして去っていった。ちょうど同じタイミングでウォームアップに香川がピッチへと登場すると、スタンド真っ白に埋め尽くすサポーターが“シンジコール”と共に万雷の拍手を送っていた。

 試合はサラゴサが主導権を握る展開となるも、ルーゴの牙城を崩し切ることができず、スコアレスドローで痛み分けに。ゴール裏への挨拶を終え、悔しげな表情を浮かべた香川がピッチを去ったタイミングカルロス氏がやってきて、「スタジアムを紹介するよ!」と促された。そして、関係者入り口の階段を下ると、選手たちが戦いを終えたばかりのピッチが目の前に拡がっていた。

シンジがこのピッチに立つだけで、サポーターの応援は熱が帯びるんだ。それだけじゃない。このクラブの若手選手も羨望の眼差しで走る彼を眺めているよ」と、カルロス氏はピッチを見回しながら説明した。サラゴサで最も売れているユニフォームは誰か尋ねると、「君の求めているとおりの答えになるだろう。シンジだ。断トツでね」と笑顔で答えた。

サラゴサが最も求めているもの 「サポーターの笑顔は、香川がもたらしているものだ」

プレーもこのチームメインエンジンだ。素晴らしいゲームコントロールを見せている」と、加入直後からチームをけん引する香川のパフォーマンスを絶賛した一方、「それでも、彼に求めている最も重要なものは、そういった見事なプレーでも、ユニフォームを誰よりも売り上げる商業面でもない」と切り出した。

「それは、サポーターの笑顔だよ。君もたくさん見ただろう。サポーターの笑顔は、香川がもたらしているものだ。我々が最も求めていたものだよ」。試合前も、年配の男性が香川のユニフォームを着用してビール片手に仲間たちと会話に花を咲かせている傍ら、同じく香川のユニフォームを着た少年がシザースをしながら広場を駆け回っていた。背番号「23」はこの街の中心となっている。サラゴサにやってきて最も感じたことだった。

 帰り際には、「またいつでも連絡してくれ。我々はいつでも歓迎するよ。わざわざ日本から来てくれてありがとう」と、タクシーまで手配してくれる“おもてなし”ぶりだった。香川はサラゴサで誰からも愛される存在となっており、そして、心温かな人々に見守られながらピッチに立っていることを実感できる時間となった。(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)

サラゴサのMF香川真司【写真:Getty Images】


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