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中島が鋭いドリブルで脅威を与えた一方、戻り切れないままチームの守備の負担が増加

 森保一監督率いる日本代表は、現地時間17日のコパ・アメリカ南米選手権グループリーグ初戦でチリに0-4と大敗した。4-2-3-1の左サイドハーフで先発出場した10番MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)は、攻撃面で存在感を放った一方、チームに守備の負担を強いるなど“諸刃の剣”であることが改めて浮き彫りとなった形だ。

 今大会、東京五輪世代の若手を中心に臨んでいる日本は、チリ戦でGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、DF原輝綺(サガン鳥栖)と杉岡大暉(湘南ベルマーレ)、MF中山雄太(PECズヴォレ)、FW前田大然(松本山雅FC)と上田綺世(法政大)の6人がスタメンでA代表デビューを果たした。

 4-2-3-1の1トップに上田、トップ下に18歳MF久保建英FC東京レアル・マドリード)、右に前田が入った。また2ボランチをMF柴崎岳(ヘタフェ)と中山が組み、4バックは左からDF杉岡、冨安健洋(シント=トロイデン)、植田直通(セルクル・ブルージュ)、原が並んだ。

 試合序盤、チリに脅威を与えた1人が中島だ。足もとでボールを受けると小刻みなステップを刻んでボールを運び、複数人に囲まれてもボールを簡単に失わないキープ力を発揮するなど攻撃のリズムを創出。中島のドリブルにチリも手を焼いていた。

 中島が攻撃の急先鋒となっていた一方、後方では守備の負担が増していた事実も見逃せない。「自分のところで取り切るのが相手にとっても嫌だと思う。良い相手とできているのでチャレンジしないといけない」と前線からの守備を強調した中島だが帰陣が遅れる場面もあり、時に前線に残ったままチームの守備を見守るシーンも見られた。

今の中島は攻撃で絶大な効力をもたらす一方、守備の“穴”となり得る存在

 攻撃で絶大な効力をもたらす一方、守備の“穴”となり得るのが今の中島だ。実際、後半9分のシーンでは、チリが日本のゴール前に猛然と攻め込むなか、日本の最終ラインと2ボランチが全体的に下がっていくなか、中島は戻る気配を一切見せずにゆっくりと前方に向かって歩き始めた。

 中島がマークすべきDFマウリシオ・イスラを完全にフリーにしてしまい、中央から右サイドを駆け上がったイスラへ展開。左サイドバックの杉岡が機転を利かせてスライドしたが間に合わず、混乱のなかで中央にパスを通されてMFエドゥアルド・バルガス(UANLティグレス)に決められた。

 このシュートを打たれた場面だけを切り取れば、ボランチ中山の寄せが遅く映ってしまうが、守備が破綻をきたした一因は左サイドの守備にある。中島自身も「戻るシーンは戻らなくてはいけなくて、2失点目は戻り切れなかった」と悔やんだ

 もっとも前半37分にチリのカウンターを受けた際、中島は自陣ゴール前に猛然と戻ってクリアするなど、ピンチを救った場面もある。守備意識は備えているだけに、自身の攻撃性能を最大限に生かしたうえで、守備のバランスをどう取るかは今後の課題だろう。

 また、チームにおける中島の活用法において問われるのは、森保監督の手腕だ。中島の攻撃性能を損なう戦術を強いれば宝の持ち腐れとなるなか、その個性を生かしたままチーム戦術に落とし込めるのか。指揮官が“強力なピース”をどう埋め込んでいくのかは、今後の大きな注目ポイントとなる。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

日本代表MF中島(右)【写真:Copa America】


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