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復帰戦で決勝弾を決め神戸を勝利に導いたイニエスタ 監督はリーダーシップを評価

イニエスタキープレーヤーとなって、ゴールだけではなく、リーダーとしての資質を見せてくれた」

 この日が初陣となったトルステン・フィンク監督は、試合後の記者会見で主将の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタについて、世界を唸らせてきたテクニック以上に、リーダーシップの資質を強調した。寡黙な男として知られるイニエスタは、ピッチで大声を上げ、激しいジェスチャーで鼓舞するタイプの熱い闘将ではない。しかし、この一戦では、彼がどのチームでもキャプテンを託されてきた所以を垣間見ることのできる場面があった。

 ヴィッセル神戸は15日、J1リーグ第15節でFC東京と対戦し、1-0で勝利を収めた。負傷により長期離脱を余儀なくされたイニエスタは、第9節の川崎フロンターレ戦(1-2)以来6試合ぶりの復帰戦となったが、0-0で迎えた後半4分、鮮烈なミドル弾を叩き込み、首位クラブから決勝弾を奪う活躍を披露し、フィンク監督に最高の就任祝いをプレゼントした。

 これまでと異なり、ボランチに入ったイニエスタは、低い位置からテンポの良いパスワークの起点となり、縦パスと逆サイドへのロングパスを器用に使い分ける、質の高いポゼッションサッカーを展開。時にはキラーパスやドリブル突破などで緩急をつけ、司令塔として別格の存在感を放っていた。

「復帰戦で決勝ミドル弾」という最大のトピックスを生み出したイニエスタだが、フィンク監督が称賛を送ったのは、冒頭で記したように、主将を務めるイニエスタリーダーシップだった。闘将のイメージとは程遠く、むしろ常に落ち着いており、寡黙な人物として知られているイニエスタだが、この試合では彼のキャプテンシーが窺えるシーンがいくつかあった。

的確なタイミングで檄を飛ばし、交代後も座ることなく試合を見守る姿

 決勝点を奪った直後、立て続けにCKを与えてしまった場面では、それまで声を荒げることのなかったイニエスタが激しく手を叩き、チームメートのポジショニングを厳しく指示していた。得点の喜びに浮き足立ち、直後に失点を喫してしまうというのはサッカーではよくあるケースだが、百戦錬磨のイニエスタは、自身のスーパーゴールでやや弛緩した空気が流れていたチームを締めるため、的確なタイミングで檄を飛ばしていた。

 また、この日イニエスタは早めの交代が予定されていたはずだったが、久しぶりの先発とは思えぬ強度とパフォーマンスで、結局終了間際の後半45分までプレーした。その際も、復帰戦で90分を走り抜いて疲弊していたにもかかわらず、アディショナルタイムの5分間、座って休まずにベンチを飛び出し、立ちっぱなしでチームを見守っていた。終了を告げるホイッスルが鳴り響いた瞬間には、フィンク監督に飛び付いて勝利を祝った。キャリアを通して何百勝も挙げてきたイニエスタが、誰よりも勝ちにこだわりを見せた姿だった。

 試合後には、今季初ゴールとなった自身の決勝弾について「素晴らしいゴール」だったと振り返りつつも、「というのも、勝ち点につながったという意味で、素晴らしいゴールだったということ」と、そのワールドクラスの華やかさではなく、勝ち点3奪取に貢献した得点となったことの重要性を説いていた。バルセロナスペイン代表でも長きにわたり主将を務めてきたイニエスタ。世界最高のチームからキャプテンバンドを託されるだけのリーダーシップを、垣間見ることのできる一戦になった。(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)

神戸MFイニエスタ【写真:Getty Images】


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