2022年カタールW杯を見据え、2016年にプロトレーナーの木場氏との計画がスタート
FC東京の18歳MF久保建英が、ついに日本代表デビューを果たした。9日の国際親善試合エルサルバドル戦、後半22分にMF南野拓実(ザルツブルク)に代わってピッチに投入されると、トップ下としてデビュー戦とは思えない好パフォーマンスを披露。同28分には相手選手2人に囲まれながらも切れ味鋭いカットインで置き去りにし、左足の強烈なシュート。惜しくもGKに阻まれたものの、ワンプレーで強烈なインパクトを残した。
昨季はなかなか出場機会に恵まれず、シーズン途中に横浜F・マリノスへの期限付き移籍も経験した久保だが、今季は開幕からレギュラーとしてFC東京の首位快走に大きく貢献している。卓越した技術もさることながら、そのフィジカル面での成長に目を見張った人も少なくないはずだ。
相手との競り合いで遅れを取らないことはもちろん、急激なストップやターンにも体幹がブレず、エルサルバドル戦のように対面するDFの逆を取ることができている。
18歳で底知れぬポテンシャルを示した久保と小学校5年の頃から二人三脚でフィジカル強化に取り組んできたのは、トレーニングメソッド「KOBA式体幹バランストレーニング」を開発したプロトレーナーの木場克己氏だった。
2016年11月、都内・亀戸の木場氏運営のジムで2人は中長期的なフィジカル強化プランについて話し合った。
「タケフサとは2016年11月とカラダ作りの計画について話しました。今は6年計画の3年目です。21歳で迎える(2022年)カタール・ワールドカップ(W杯)を目標に、成長に合わせて開発したメニューをこなしています。その一方で、サッカー選手にとって膝の故障はキャリアに影響します。膝周りは重点的に作らないといけない。今は順調に来ているところですね」
木場氏はこう語った。3年前のミーティングではホワイトボードで時間軸と成長曲線を解説。年齢に応じた強化ポイントをしっかりとイメージさせた。
「骨格と筋肉が成長のピークになる22から23歳を迎えるまでにカラダを作っていかないといけない」と当時、木場氏は愛弟子にこう語りかけたという。
体幹のブレないドリブルから感じる手応え
久保の計画的なフィジカル強化は、まだ道半ば。それでも相手を翻弄する“違い”を見せている。エルサルバドル戦のシュートシーンに代表されるような体幹がブレないドリブルには、木場氏も取り組みの手応えを感じているという。
「軸がブレずにドリブルできている。くるくると回る高速ターンも、体の軸とインナーマッスル、お尻と脇腹の筋肉が高度に連動できている証拠です。かなり体の軸が強くなってきていると感じました。高速ターンや切り返しでもブレない。ロスなく回ることができているのです。捻る筋肉もうまく連動しています。インナーマッスルとアウターマッスルの共同作業でターンはスムーズになる。それがあるから相手選手はフェイントに引っ掛かって倒れてしまうんですよね」
フィジカル面で順調な成長を遂げている久保だが、昨季は「夏にマリノスに移籍した時から、週に1回くらい(トレーニングに)来ていた。葛藤もあったんだと思う」と木場氏は振り返る。恩師とともに雌伏の時を乗り越え、進化を続けている久保。コパ・アメリカでの活躍に、今から期待は高まるばかりだ。
[PROFILE]
木場克己(こば・かつみ)
プロトレーナー。体幹・体軸・バランスを強化する「Koba式体幹・バランストレーニング」の開発者であり、かつてガラタサライDF長友佑都の体幹トレーニングを指導した。現在はFC東京MF久保建英、鹿島アントラーズFW安部裕葵らトップアスリートが師事するスペシャリスト。(Football ZONE web編集部・片村光博 / Mitsuhiro Katamura)
(出典 news.nicovideo.jp)
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