(出典 the-ans.jp)



データで診るサッカーロナウドが昨夏レアルからユベントスに移籍し、影響を受けた選手は?

 ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、今季加入したユベントスでもセリエA第31節終了時点でチームトップの19ゴールを叩き出しており、エースとしての地位を確立した。またデータ分析会社「InStat」によれば、8アシストリーグ3位の数字を残しており、新天地ではフィニッシャーとしてだけでなく、ゴールを演出する役回りも演じている。

 そして輝きを放っているのは、国内リーグだけではない。ユベントスは今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦の第1戦で、アトレチコ・マドリードに敵地で0-2と敗れ、ホームでの第2戦では3点差以上の勝利が求められる状況となった。その緊迫した状況下で、ロナウドハットトリックを達成。3-0の勝利でチームベスト8へ導き、世界に強烈なインパクトを与えた。

 一方、ロナウド2009年から9シーズン在籍し、稀代のゴールマシンとして猛威を振るってきた前所属のレアル・マドリードは、今季苦戦を強いられている。絶対的エースだったロナウド退団の影響を受ける形で序盤戦から思うように勝ち点を積み重ねられず、第31節終了時点で首位バルセロナと勝ち点13差の3位。また昨季まで前人未到の3連覇を成し遂げていたCLではベスト16で敗退、スペイン国王杯も準決勝敗退と今季のタイトル獲得はほぼ絶望的な状況だ。

 もちろん、ロナウド一人の存在がすべての結果を導く要因になっているとは思わない。だが、昨夏のロナウド移籍を経て、ユベントスレアルで大きく明暗が分かれているのは事実だろう。

 では、その一因であるはずのロナウドの移籍によって、最も影響を受けた選手は誰なのか。「InStat」のデータを基に、両チームの“得した人・損した人”を合わせて4人選出した。

ロナウドの移籍によって“得した”元同僚FWと現同僚FW

 最初に“得した人”として紹介するのは、レアルの元フランス代表FWカリム・ベンゼマだ。昨季はリーグ戦5ゴール10アシストベンゼマは、今季はすでに17ゴール4アシストを記録。シュート本数も昨季の48本から今季は74本、決定率も10.4%から23.0%に向上している。昨季まではロナウドサポート役を担う部分が大きく、黒子に徹していた印象が強かったが、今季からロナウドが退団したことで、フィニッシャーとして機能していることが数字にも反映される結果となった。

 そして2人目の“得した人”は、ユベントスの元クロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチだ。昨季は5ゴール3アシストにとどまっていたマンジュキッチは、今季すでに8ゴール6アシストとどちらも上回っており、決定率は12.8%から29.6%と倍以上にアップ。また、今季ロナウドが最もアシストしている相手がマンジュキッチであり、一方のマンジュキッチも6アシストのうち4アシストロナウドと、“相思相愛のホットライン”を形成している。

ロナウド加入で数字が大幅下落のディバラ、去って苦戦するレアル時代の“盟友”

 一方、“損した人”に位置付けたのがユベントスアルゼンチン代表FWパウロ・ディバラだ。昨季は22ゴールチーム内得点王に輝いたものの、今季はここまで5ゴールと激減。シュート本数も昨季83本から今季38本、決定率も26.5%から13.2%と大幅に下落している。

 その原因として考えられるのは、ロナウドの加入により中央でプレーする機会が減少し、ワイドでのタスクを任される役回りとなっている部分も一因として考えられる。ロナウドとディバラは、ピッチ内外で良好な関係を築いていることが現地メディアなどでたびたび取り上げられているが、データ上ではエースの座を完全にロナウドに奪われた格好となっている。

 そして、もう一人の“損した人”は、レアルブラジル代表DFマルセロだ。レアル時代はロナウドと最も気心の知れた仲であり、その密な関係性はピッチ上のデータにも表れていた。マルセロは昨季のリーグ戦でチーム内5位の6アシストを記録していたが、そのなかでロナウドへのアシストは半数の「3」となっており、これはベンゼマに次ぐチーム内2位の数値だった。しかし、今季はリーグ戦でわずか2アシストにとどまっており、シーズンを通して持ち味の攻撃力を発揮できていない。

 しかも、この2アシストジネディーヌ・ジダン監督の再就任以降に生まれたものであり、今季序盤のフレン・ロペテギ体制、その後のサンティアゴ・ソラーリ体制では“0アシスト”だった。マルセロには以前から守備に難ありとの評価があったものの、それを補って余りあるほどの圧倒的な攻撃力でチームに貢献し、“白い巨人”で不動の左サイドバックの地位を築いていた。しかし、ロナウドが去った今季はその攻撃力が影を潜めており、負傷の影響もあった中盤戦では若手DFセルヒオ・レギロンにポジションを奪われていた。

ロナウドの刺激を受けて台頭した新たな才能

 ロナウドは現地時間3月17日に行われたセリエA第28節ジェノア戦で休養を与えられ欠場したが、チームはこの試合でシュート6本、枠内シュート0本という今季ワーストの数値を叩き出し、0-2でリーグ戦初黒星を喫した。ロナウドの存在の大きさを、最も痛感させられた一戦となっている。

 その後はリーグ戦で3連勝を収めているが、そこで3試合連続ゴールマークしているのが19歳FWモイゼ・ケアンだ。負傷離脱中だったロナウドの代役として見事な結果を残しているが、米スポーツ専門局「ESPN」によれば「トレーニングロナウドから多くのことを学んでいる」とコメントを残しており、ロナウドの存在が自身のプレーに大きな影響を与えていると明かしていた。今後もロナウドに影響を受け、飛躍を遂げる選手がユベントスから出てくるかもしれない。(Football ZONE web編集部)

ユベントスFWロナウド【写真:Getty Images】


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