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中島の推進力は森保ジャパンの強力な武器 南野も「アクセントになっている」と評価

 日本代表MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)は、1勝1敗で終えた3月シリーズで最も輝いた選手だった。22日のコロンビア戦(0-1)ではブラジルワールドカップ(W杯)得点王のMFハメス・ロドリゲスバイエルン)らを巧みなボールコントロールで翻弄し、26日のボリビア戦(1-0)では推進力溢れるプレーで決勝ゴールマーク。新体制発足から3カ月連続で背負ってきた「10番」こそ代表復帰したMF香川真司(ベジクタシュ)に譲ったものの、チームの中心に間違いなくいた。しかし、切り札の中島が“ウィークポイント”になるリスクもはらんでいる。

 香川の代表復帰、“脱・大迫依存”の行方など注目テーマがあるなかで、コロンビア戦で途中出場だった香川は続くボリビア戦でスタメン起用されたが、森保一体制下でのプレー歴の浅い選手も多く、本来の攻撃力を発揮できず。森保ジャパン発足からチームを牽引してきた中島、MF南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(フローニンゲン)の“2列目トリオ”と一緒にプレーする時間も短く、共存は未知数のまま終わってしまった。

 FIFA国際サッカー連盟ランキング60位のボリビア相手に苦戦を強いられるなか、中島は後半31分に2列目トリオによるショートカウンターのフィニッシャーとして決勝点を挙げると、その2分後にはクロスバー直撃の強烈な左足シュートお見舞い。その後も縦にどんどん仕掛けて流れを変えた。

 中島との交代でピッチを後にしたMF乾貴士(アラベス)は、「前の3人と、(柴崎)岳が入って流れが変わった。翔哉は決める力がすごくある。他の選手も含めて、良い選手だなと思いながら見ていました」と明かす。また、同じリオデジャネイロ五輪世代の南野は、「翔哉はいつも通り。これくらいやっているんで」と“スタンダード”であることを強調しつつ、「翔哉のところにボールが入って、前を向いてというのがアクセントになっているので、今後も必要なことだと思います」と展望している。

中島の懸念材料は…ボールを奪われた後のカウンター「入れ替わるシーンもあった」

 中島は勝利の立役者となり、「10番」を背負っても不思議はないほどの活躍だったのは間違いない。しかし、8年ぶりのA代表2キャップ目で右サイドバックとしてフル出場した熟練DF西大伍(ヴィッセル神戸)は、中島がいる陣容の課題についても分析している。

「彼が入ることで弱くなる部分もある。そこは考えながら周りがやるべき。取られて入れ替わるシーンもあったので」

 後半に中島は出場以降、特に“2列目トリオ”が揃ってからはオープンな展開となるなか、ボリビアの攻撃は中島のサイドが多く、突進していってボールを奪われ、攻めに転じられるシーンもいくつかあった。中島は森保監督から「どんどん仕掛けてほしい」と言われて送り出されたことを明かしていたが、2列目トリオを投入した後の後半28分、攻撃が特徴のDF安西幸輝(鹿島アントラーズ)に代わり、対人守備やエアバトルを武器とするDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)を中島の後ろに配置しているのもカウンターを食らった際のリスクを軽減する狙いがあっただろう。

 一方で、MF柴崎岳(ヘタフェ)はボリビア戦の前後半について、自身の見解を語っている。

「個人的には、前半の戦い方と後半のスピーディーなものと、なるべく使い分けて試合を進めたいと思っています。前半のようにあまりリスクをかけないボールの回し方だけではダメだし、後半は後半でボールの取られ方によっては危険なシーンを招くので、個人の判断とチームとしての成熟もあると思います」

 持ち味を生かすべく自由が与えられているなかでは、中島を“最強の矛”であり続けさせるか、“諸刃の剣”としてしまうかは周囲次第。読みや戦術眼に優れ、中島のカバーに回れる選手が重要なキーパーツになりそうだ。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】


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