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 シーズン開幕から約2カが経過し、サウサンプトン吉田麻也がようやくプレミアリーグで初スタメンを飾った。第7節までリーグ戦の出場が一度もなく、出番はチームとして優先順位の落ちるリーグ杯の2試合のみだった彼が、7日に行われた第8節のチェルシー戦で先発を果たした。

 吉田の代わりに、これまでCBの位置で起用されてきたのが、オランダ代表DFヴェスレイ・フートと、新戦デンマーク代表DFヤニク・ヴェステルゴーアの2人。両者とも「強さと高さ」が武器のCBで、ソリッド強いサッカーを志向するウェールズ人のマーク・ヒューズ監督の好みに合っている。

 もっとも、指揮官の采配は、CBだけでなくセントラMFを含めたチームの背部分に「フィジカルの強い」選手を配置する傾向がある。そのため、読みの良さとビルドアップをストロンポイントにする吉田は、2人の後を拝してきた。

 その拠に、セントラMFポジションでも、昨シーズンまでレギュラーを務めたオリオール・ロメウがベンチメンバーに降格した。機転を利かせた縦パスで攻撃を操るスペインMFを外し、代わりに、豊富な運動量とボール奪取定評のあるMFピエールエミール・ホイビュルクとMFマリオ・レミナの2人を起用している。ロメウは攻撃のコンダクターで不可欠な存在だったが、このあたりにもウェールズ指揮官の好みが見て取れる。

 つまり、今シーズンサウサンプトンは、英国出身のヒューズ監督カラーが色濃く出ている。ピッチ上で「球際ではしく、縦に速い」サッカーし、人選にも指揮官の志向が反映されているということだ。

 ところが、である。肝心の結果がまったくついてこない。パフォーマンスは乏しく、7節終了時で1勝4敗2分の16位──。特に守備は、5節ブライトン戦(2失点)、6節リバプール戦(3失点)、7節ウルヴァーハンプトンワンダラーズ戦(2失点)と失点の山を築いている。ヴェステルゴーアもフートも動きは低調で、盤石の守備を見せているとは言い難い。

 そこで、テコ入れを行なったのが8節のチェルシー戦だった。まず、システムを4バックから5バックに変更。ヴェステルゴーアを先発メンバーから外し、吉田を5バックシステムCB中央で起用したのだ。

 そのチェルシー戦で、吉田強い守備を見せた。バイタルエリアフランス代表FWオリヴィエジルーやベルギー代表MFエデン・アザールが下りてくれば、吉田は前方に飛び出してブロック。敵の攻撃の芽を事前に摘むと、193センチのジルーとの中戦にも競り勝った。相手のスルーパスに反応し、滑り込みながらクリアした際には、サポーターから大きな拍手が沸き起こった。

 しかし、チームとしてのの差は明らかで、前半20分経過時にはチェルシー80ボールポゼッションを記録した。サウサンプトンは5バックシステムを軸に堅守速攻に狙いを定めていたが、前半30分にホイビュルクのボールロストから失点すると、57分、90+3分と立て続けにゴールを許し、0-3で敗した。

 試合後、吉田は思いの丈を口にした。

「この試合、このチャンスを2カ待っていた。今日、出番が来るというのは(なんとなく分かった)。長年やっているから読み通りでしたけど、でも、まあもうちょっと……。最低でも0-2で終わりたかった。最後の1点はいらなかった」

「このリーグは、1試合に出るのが本当に大変です。だけでなくて、ちゃん(=岡崎慎司)もヨッチ(=武藤嘉紀)も苦しんでいるけど……。でも、だからこそ価値があると思っている。何とか巻き返したい」

 現時点における吉田の課題は、マッチフィットネスだろう。チェルシー戦でも味方の速い弾道のパスをトラップミスし、本人も「ボールもまだまだ足についていない感じがする」と反点を口にしていた。吉田は、善していくには試合を重ねることが大事になると説いた。

「なによりも試合に出なければいけない。コンスタントに試合に数多く出ることが大事になると思います。(自分は)いきなり出て、パフォーマンスをパッと出せるタイプではないので。コンスタントに試合を出て、徐々に、徐々に、パフォーマンスが上がってくるタイプだと思う」

 プレミアリーグは、このタイミングマッチウィークに突入した。吉田としては、日本への長距離移動や疲労の蓄積など、チーム再合流後のコンディション調整に難しさを抱えることになるが、それよりもむしろ、日本代表で試合をこなしたほうが自分にとってプラスになると考えているという。来年1月アジアカップトロフィーを掲げることを「標」とし、保一新体制の日本代表に合流することに「すごくワクワクしている」と前置きした上で、次のように言葉をつないだ。

「もちろん、日本に行って試合に出られる保はないけど、出られる可性は広がるだろうし。サウサンプトンに残っても、チームが4連休とかになってしまうので、そうなると厳しくなる。逆に、コンディションが崩れる可性が高い。代表に帰って、出場する機会を与えられれば、良いパフォーマンスを出せると思う。イングランドに戻ってきても、パフォーマンスは良くなるんじゃないかなと思っています」

 ここまでは、サウサンプトンで出番が限られ苦しんだ。試合を重ねることで試合勘やコンディションを研ぎ澄ましていくタイプなだけに、吉田としてもアピールするには厳しい状況にあった。

 しかし、チームの結果がついてこないことから、ヒューズ監督の考えが少しずつ変わり始めている。ようやく向きが変わりそうな様相だが、指揮官の志向やチームの不振、吉田自身のコンディション次第で、どちらに転んでいくかはまだ分からない。

 その意味では、複数の要素が複雑に絡み合った状況に置かれているのが、「吉田現在地」と言えるだろう。プレミアリーグ在籍7シーズンとなった吉田の挑戦は、今後もまだまだ続いていく。

取材・文=田嶋コウスケ

ようやくリーグ戦初出場を果たした吉田。チェルシー戦での第一歩をきっかけに、先発の座を奪い返すことはできるか [写真]=Getty Images


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